「Opus級のコーディング性能を、5分の1の価格で」——中国Zhipu AI(Z.ai)が6月13日に公開した「GLM-5.2」は、そんな看板を掲げるオープンモデルだ。しかも重み(モデル本体)はMITライセンスで公開されており、誰でもダウンロードして自分のサーバーで動かせる。
中国発オープンモデルの快進撃は2025年のDeepSeekで世界が知ったが、GLM-5.2はその第2波の本命格だ。数字で現在地を確かめる。
スペック: 753BのMoE・100万トークン
| 項目 | GLM-5.2 |
|---|---|
| 公開 | 2026年6月13日(Zhipu AI / Z.ai) |
| 規模 | 約753BパラメータのMoE(混合専門家) |
| コンテキスト | 100万トークン |
| ライセンス | MIT(商用利用可・重み公開) |
| API料金 | 入力$1.40 / 出力$4.40(100万トークンあたり) |
性能: 中国オープン勢の頂点へ
第三者評価のArtificial Analysisインテリジェンス指数(v4.1)では51を記録し、中国オープン勢のライバルを頭ひとつ抜いた。
コーディングではSWE-bench Pro 62.1{5d2e0584b3bb9387985c426bb791d5e5042ce0c301311590ba932b19116644e7}、Terminal-Bench 2.1で81.0{5d2e0584b3bb9387985c426bb791d5e5042ce0c301311590ba932b19116644e7}を公表し、複数の長期コーディング指標でGPT-5.5超えを主張。セキュリティ企業Semgrepの独立検証でも、サイバー系ベンチマークでClaudeを上回る結果が報告された。Fable 5級の最前線には一歩届かないが、「実務のコーディング」なら十分に戦えるゾーンにいる。
semgrep.dev We have Mythos at Home: GLM 5.2 beats Claude in our Cyber Benchmarks(英語) セキュリティ企業による独立検証。自社公表値ではない第三者の実測として貴重。安さの意味: 価格競争の第3の波
出力$4.40は、Grok 4.5($6)よりさらに下だ。米国勢が競い合う価格破壊の下から、オープンモデルがもう一段安い床を敷いてくる——この三つ巴が2026年後半のAPI価格を規定する。自社サーバーで動かせば推論コストは電気代だけ、という選択肢まで含めての「安さ」であることが、クローズドモデルとの決定的な違いだ。
導入前に考えたいこと
注意点は2つ。753B級を快適に動かすには相応のGPUが要り、「無料で動かせる」は誰にでも当てはまらない。そして中国発モデルの業務利用では、データの取り扱い方針や輸出規制まわりの社内確認が実務上のハードルになる。APIで小さく試し、合えばセルフホストを検討——の順が現実的だ。
「オープンで十分」の範囲が広がり続ける
1年前、オープンモデルは「安いが一段落ちる」存在だった。GLM-5.2はその差を実務レベルでほぼ消しつつある。筆者は、企業のAI導入の既定路線が「まずオープン勢で試算→足りない部分だけ最前線モデル」に変わる転換点が来ていると見ている。





