OpenAIがGPT-5.6を7月10日に一般公開する。6月26日から限定プレビューが始まっていたもので、今回からSol(最上位)・Terra(バランス)・Luna(高速/低価格)の3層構成になった。「GPT-5.6」というひとつのモデルではなく、3兄弟の総称だ。
結論から言うと、開発者にとっての本命はTerraで、注目機能はSolの「ウルトラモード」と新しいキャッシュ制御だ。順に見ていく。
Sol・Terra・Lunaの3層構成
新しい命名規則では、数字(5.6)が世代を、Sol/Terra/Lunaが能力の階層を表す。しかも各層はそれぞれ独立したペースで進化するとされており、「5.7ではLunaだけ先に更新される」ような世界になる。AnthropicのHaiku/Sonnet/Opus方式に寄せてきた形で、利用者としてはインテリジェンス・速度・コストの選択肢が明確になった。
Previewing GPT-5.6 Sol: a next-generation model. Sol, Terra, and Luna give users and developers clearer choices across intelligence, speed, and cost — each evolving at its own pace.
新機能: ウルトラモードとキャッシュ制御
Solには推論時間を深く取る新しい最大推論エフォートと、複数のサブエージェントを並列に走らせて複雑な作業を加速する「ウルトラモード」が入った。単体モデルの賢さ勝負から、オーケストレーション込みの働き方勝負へ——という業界の流れがフラッグシップの標準機能になった格好だ。
地味だが開発者に効くのがプロンプトキャッシングの改善で、明示的なキャッシュブレークポイントと最低30分のキャッシュ寿命が保証される。「いつキャッシュが切れるか分からない」問題への回答であり、エージェントを長時間走らせるときのコスト設計がしやすくなる。
発表内容の詳細は、公式アナウンスを丁寧に読み解いたこちらの動画が分かりやすい。
料金: 競合との比較
API料金(100万トークンあたり)はSolが入力$5/出力$30、Terraが$2.50/$15、Lunaが$1/$6。AnthropicのClaude Fable 5($10/$50)と比べるとSolは半額で、価格で殴りに来ている。TerraはOpus級の用途を狙う中位価格、Lunaは大量処理のバッチ用と、隙のない布陣だ。
| モデル | 位置づけ | 入力/出力(100万トークン) |
|---|---|---|
| Sol | 最上位(ウルトラモード対応) | $5 / $30 |
| Terra | バランス(開発の本命) | $2.50 / $15 |
| Luna | 高速・大量処理 | $1 / $6 |
不安が残る3つのポイント
不満は3つ。まず米国政府向け限定プレビューが先行した経緯があり、一般開発者は常に後回しになりつつあること。次に「ウルトラモード」の課金体系が現時点で読みにくいこと。サブエージェントが並列で走るなら、トークン消費は掛け算で増えるはずだ。最後に、3層×世代独立進化は柔軟だが、モデル選定の説明コストは確実に上がる。チーム開発では「どのタスクにどれを使うか」の社内ガイドが必須になる。
日本語での機能・料金・制限の網羅的な解説は、こちらの記事もよくまとまっている。
chatsense.jp GPT-5.6とは?使い方・料金・制限を解説 Sol/Terra/Lunaの違い、ChatGPTでの利用方法、プラン別の制限までを網羅した日本語解説。どれを使うべきか
筆者の推奨は「まずTerraで組み、性能が足りない箇所だけSolに昇格、大量処理はLunaに降格」。土日の実験ならLunaで十分だ。一般公開でベンチマークの実測値が出揃い次第、続報で検証する。





