去年までのXの攻略法を、今年もそのまま使っている人は多い。「リプ欄に張り付けばインプレッションが稼げる」「リンクを貼ると伸びない」——。だが2026年のXは、その常識が通じない別物に作り替えられた。おすすめ欄の中身を決めているのは、もうルールの束ではなくGrok系のAIだ。
しかも今回は憶測ではない。Xは2026年1月、新しい推薦アルゴリズムのコードそのものをGitHubで公開した。この記事では、公開されたコードと公式発表だけを根拠に、「2026年のXで何が評価されるのか」を整理する。
公開されたコードが示す3つの部品
公開リポジトリ(xai-org/x-algorithm)によると、おすすめ欄は大きく3つの部品でできている。フォロー中の投稿を集める「Thunder」、全体から候補を探して並べ替える「Phoenix」、そして全体を指揮する「Home Mixer」だ。心臓部のPhoenixは、xAIのGrokと同じTransformer技術で動く。
重要なのは公式文書の一文だ。「手作業で設計した特徴量はすべて排除し、ヒューリスティクス(経験則のルール)も大部分を排除した」。かつての「この条件なら加点」という無数のルールは消え、AIが投稿の中身を読んで、あなたが反応する確率を直接予測する方式に変わった。マスク氏の「Grokが文字どおり全投稿を読む」という2025年秋の予告は、コードの上では現実になっている。
フォロー中の投稿を供給 → Phoenix(Grok系AI)
全投稿から候補を探索 → 行動の確率を予測
いいね・返信・滞在…
重み付けして合算 → あなたの「おすすめ」欄
図: 2026年のXおすすめ欄の構造(xai-org/x-algorithm公式READMEを基に筆者作成)
「何に反応してほしいか」の序列
ではAIは何を高く評価するのか。新コードで具体的な重みの数値は非公開になったが、公式文書は方向をはっきり書いている。いいね・リポスト・返信・引用・ブックマーク・滞在時間などのポジティブな行動にプラスの重み、ミュート・ブロック・通報にマイナスの重みだ。数値が最後に公開された2023年版では「返信はいいねの27倍、投稿者が返信に反応すればさらに跳ねる」という設計で、会話を生む投稿が最強という思想は今も変わっていないと見られる(現行の具体的な倍率を語る記事は、すべて非公式の推定だ)。
もう一つ、俗説に公式が答えた論点がある。「リンクを貼ると抑制される」説について、Xのプロダクト責任者ニキータ・ビア氏は「リンクは一度もデブースト(意図的抑制)されていない」と繰り返し明言。伸びない原因は、リンクを開くとブラウザ画面が「いいね」ボタンを覆い隠していたためだとし、ボタンが隠れない新UIへの変更まで行った。公式否定と世間の体感がぶつかる珍しい論点だが、少なくとも「リンク=ペナルティ」とコードで断定できる記述は見つかっていない。
インプレゾンビの経済が壊された年
日本のユーザーに一番関係が深いのは収益の変更だろう。2026年1月、Xは収益分配の原資を2倍以上に増やすと同時に、計算方法を「認証済みユーザーのホームタイムラインでの表示回数」ベースに変えた。つまり、リプ欄でいくら表示を稼いでも収益にならない。トレンドのリプ欄に大量発生していた「インプレゾンビ」は、これで経済的な餌を絶たれた。2月にはAPI経由の自動リプライも制限され、あの不毛な光景は目に見えて減った。
bot掃討も2月・3月・4月・6月と波状的に続いており、フォロワーが数千人単位で減ったという報告は珍しくない。減った数字に落ち込む必要はない——消えたのは、あなたの投稿を読んでいなかった「観客のふりをした機械」だ。Claude等を使ったX運用の収益事例は「Claude×X運用で「稼いだ」話の実像」でも検証したが、2026年のルール変更はその前提すら変えている。
AIが読者になった世界での勝ち筋
ここまでを通して見ると、2026年のXで評価されるのは「ルールの隙を突く投稿」ではなく「AIが読んで、人間が会話したくなる投稿」だ。小手先のハックが効かなくなったとは、裏を返せば、中身で勝負が決まる時代になったということでもある。攻略法を探し続けてきた身からすると拍子抜けするほどだが、これを健全化と呼ばずに何と呼ぶのか、とも思う。
アルゴリズムは今後もGitHub上で更新されていく(5月には1.8万行超の大型更新があった)。おすすめ欄の挙動が変わったと感じたら、憶測記事ではなく、まずリポジトリの更新履歴を見にいく——それが2026年の正しい「X攻略」の作法だ。
出典: xai-org/x-algorithm(公式リポジトリ) / TechCrunch(公開の経緯) / INTERNET Watch(自動リプライ制限)。2026年7月18日時点。収益条件・アルゴリズムは変更されることがある。





