6月1日の朝、GitHub Copilotの画面に、いわばタクシーのメーターが取り付けられた。全プランが従量課金制へ移行し、月額を払えばあとは気にせず使えた「定額使い放題」の時代が終わったのだ。
新しい通貨の名は「AIクレジット」。1クレジット=1セント(約1.5円)で、チャットやエージェントを使うたびに、消費したトークン量に応じて残高が減っていく。この記事では、何がどう変わり、誰が得をして誰が損をするのかを、数字で整理する。
何が変わったのか——1クレジット=1セント
これまでのCopilotは「プレミアムリクエスト」という回数券方式だった。新制度では、モデルごとのAPI料金表に基づき、入出力トークン量で課金される。つまり長い会話や大きなコードほど高くつく。各プランには月々のクレジット枠が含まれ、使い切ったら追加購入(または月替わりを待つ)ことになる。
| プラン | 月額 | 付属クレジット | 金額換算 |
|---|---|---|---|
| Pro | $10 | 1,500 | $15分 |
| Pro+ | $39 | 7,000 | $70分 |
| Max | $200 | 20,000 | $200分 |
| Business | $19/人 | 1,900/人 | プール制 |
| Enterprise | $39/人 | 3,900/人 | プール制 |
- 何が変わった: 6月1日から全プランが従量課金制に。共通通貨「AIクレジット」(1クレジット=1セント)をトークン消費で使う。
- 変わらないもの: コード補完と次編集提案は無制限のまま。軽いユーザーは実質いままで通り。
- 要注意: エージェント多用の重いユーザーはクレジットが速く減る。法人の増量プロモは9月1日で終了。
無制限のまま残った、いちばん大事なもの
パニックになる前に、重要な例外を押さえておきたい。コード補完(タブ補完)と次編集提案は、従量課金の対象外だ。有料プランなら従来どおり無制限で使える。
つまりメーターが回るのは、チャットで長い相談をしたり、エージェントに仕事を丸投げしたりする「濃い使い方」のときだけ。Copilotを補完ツールとして使っている大多数のユーザーは、実質いままで通りである。GitHubは従量課金の曲がり角を以前から示唆していたが、補完を聖域として残したのは利用実態をよく分かっている判断だ。
得する人、損する人
損得の分かれ目ははっきりしている。得をするのは「補完中心+たまにチャット」の軽量ユーザー。Pro(月$10)に$15分のクレジットが付くので、実質的な値下げに近い。
損をする(可能性がある)のは、エージェントを1日中回すヘビーユーザーだ。高級モデルで長大なコードベースを扱えば、クレジットは想像より速く溶ける。海外フォーラムでは早くも「メーターショック」という言葉が生まれた。自分の使用量はダッシュボードで確認できるので、まず1ヶ月、メーターを眺めることから始めたい。筆者なら、補完はCopilotに残し、重いエージェント仕事は定額制の他ツールと使い分ける——勢力図が動いている今は、その組み合わせ自由度こそが武器になる。
github.blog GitHub Copilot is moving to usage-based billing(公式発表) 移行スケジュール・クレジットの計算方法・対象機能の一覧。損得を自分で計算するならこの一次情報から。9月1日の崖に気をつけて
最後にカレンダーの話を。Business/Enterprise向けには9月1日まで増量プロモーション(3,000/7,000クレジット)が効いている。9月1日に通常枠へ戻るため、チーム導入している組織は8月中に実際の消費ペースを測っておかないと、秋に請求書で驚くことになる。
定額制は「安心を買う」仕組みで、従量制は「正直さを買う」仕組みだ。AIの原価が透明になっていく流れ自体は止まらないだろう。メーターと上手に付き合う技術が、開発者の新しい家計スキルになる。
出典: GitHub公式ブログ「GitHub Copilot is moving to usage-based billing」 / GitHub Docs「Usage-based billing for individuals」。価格・枠は2026年7月12日時点。





