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OpenAI、Appleの提訴に「核まで腐っている」 | 営業秘密訴訟の棄却を申し立て

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列柱のある裁判所風の建物

先に結論を書く。OpenAIとAppleの「営業秘密」バトルは、いま感情論の様相を帯びてきた。2026年8月6日、OpenAIはAppleが起こした訴訟の棄却を裁判所に申し立て、その書面でAppleの主張を「核まで腐っている(rotten to its core)」と切り捨てた。Appleが好んで使う言い回しを、そっくりそのまま投げ返した形だ。

ことの発端は7月10日、AppleがiPhoneの機密情報を不正に持ち出されたとして、元従業員2名とOpenAI、傘下のio Productsを提訴したことにある。約1ヶ月後、OpenAIは全面反論に出た。何が争われているのかを、静かに整理する。

Appleの訴えと、OpenAIの反論

Appleの言い分はこうだ。元従業員がiPhone関連の機密を持ち出し、OpenAIがそれを利用しようとした。採用面接を通じて他の社員からも秘密情報を引き出そうとした、とも主張する。舞台はカリフォルニア州北部地区の連邦地裁である。

対するOpenAIの反論は強気だ。訴状は十分な調査をせずに提出されたもので、ありふれた業務のやり取りを文脈から切り離して並べているだけ——そう述べ、営業秘密など「持っていないし、欲しくもない」と言い切った。問題視された幹部の面接も、業界標準の採用活動の範囲内だと主張している。

Appleの訴えは十分な調査を経ておらず、都合よく切り取ったやり取りと、文脈を剥ぎ取ったありふれた行為の上に組み立てられている。Apple自身の言葉を借りれば「核まで腐っている」。

OpenAIの棄却申立書より(2026年8月6日提出・原文英語を筆者抄訳)

なぜ「腐っている」とまで言い返したのか

OpenAIがここまで語気を強める背景には、提訴前のやり取りへの不信がある。同社によれば、Apple側の弁護士が2つのアジア系の姓を取り違えて別人にメールを送っていた。さらに、OpenAIの法務責任者と電話協議があったというAppleの説明も、事実ではなかったとAppleが後に認めたという。こうした綻びが、「まともに調べていない訴訟だ」という反論の土台になっている。

itmedia.co.jp OpenAI、Appleの提訴に全面反論――「営業秘密は持っていないし、欲しくもない」 日本語の詳報。棄却申し立ての論点と、姓の取り違えなど提訴前のやり取りのほころびが具体的に整理されている。

本当の争点は「人材」と「出遅れ」だ

筆者の読みでは、この裁判の核心は営業秘密そのものより人材の奪い合いにある。OpenAIは書面で、Appleは市場での人材獲得と引き留めの失敗、そしてAIの製品統合の遅れを、訴訟で埋め合わせようとしている、と踏み込んだ。生成AIで出遅れたと言われ続けるAppleにとって、頭脳の流出は痛い。その痛みが訴訟の温度を上げている、という構図だ。

AI業界は移籍が日常になっている。当サイトでもGoogleからの頭脳流出ノーベル賞学者の移籍を追ってきた。人が激しく動く時代に、どこまでが正当な引き抜きで、どこからが秘密の持ち出しなのか。その線引きが、この裁判で試される。

気になるのは、これが「見せしめ」になりうる点

引っかかる点も残る。もしAppleの狙いが個別の秘密奪還より、人材流出への牽制にあるなら、勝敗以上に「訴えられること自体」がメッセージになる。転職を考える技術者への無言の圧力だ。逆にOpenAIの「腐っている」という強い言葉も、法廷戦術としては諸刃で、和解の余地を狭めうる。どちらも引くに引けない構えになりつつある。

次の節目は10月1日の審理だ

この争いの次の山場ははっきりしている。棄却申し立ての審理は10月1日に予定されている。ここで訴訟が退けられるのか、それとも本格的な争いへ進むのか。人材の流動性が高いAI業界にとって、判断は一つの物差しになる。カレンダーに印を付けて、続報を待ちたい。


出典: ITmedia NEWS(OpenAIの全面反論) / AppleInsider(OpenAI fires back) / Axios(OpenAI files motion to dismiss) / 9to5Mac(without adequate investigation)

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