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広島が「AIメモリの都」になる——1.5兆円の起工式と日本初のEUV量産

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建設中のビルと黄色いクレーン

7月4日、広島県東広島市。米メモリ大手マイクロンの広島工場で、新しいクリーンルームの起工式が行われた。総投資額1兆5,000億円、経済産業省の補助は最大5,360億円。かつてエルピーダメモリの拠点だったこの場所が、いま日本で唯一のDRAM生産拠点として、AI時代の最前線に立っている。

マイクロンの前年比+346%という決算を先日取り上げたが、その「心臓部」が広島だ。今回はニュースの続報として、この工場で何が作られ、何が日本初で、地域に何が起きるのかを掘り下げる。

  • 何が起きた: 広島工場の新製造棟(クリーンルーム約2万8,000m²)が7月4日着工。総投資1.5兆円、国が最大5,360億円を補助。
  • 何を作る: AI用の広帯域メモリHBMと、EUV露光による次世代DRAM「1γ世代」。2028年市場投入、2030年に月産4万枚体制へ。
  • 日本初: EUV(極端紫外線)露光での量産は広島が国内第1号。雇用も1,000人超を創出見込み。

エルピーダの跡地から、HBMの最前線へ

広島工場の来歴は、日本半導体の浮き沈みそのものだ。日の丸DRAM連合エルピーダメモリの主力工場として建てられ、2012年の経営破綻とともに米マイクロンの傘下へ。「敗戦処理」と呼ばれた買収から14年、この工場はいまマイクロンのグローバル戦略で最重要級の位置にいる。

理由は、ここがAIメモリ争奪戦の主戦場——HBMと最先端DRAMの生産地だからだ。広島では既に、最新の「1γ(ワンガンマ)」世代プロセスによるHBM4の量産が始まっており、その製造に使われているのがEUV露光装置。EUVでの量産は、日本の半導体史で広島が最初になる。

1.5兆円の中身と時間割

2026 7/4新棟起工式クリーンルーム2.8万m²の建設開始
〜2028装置搬入 → 市場投入段階的に設備を入れ、2028年から本格出荷
2030月産4万枚体制ウエハー換算のフル稼働へ
図: 広島新棟の投資スケジュール(マイクロン発表・各種報道より、2026年7月時点)。

注目は国の関与の深さだ。補助最大5,360億円は投資額の3分の1超にあたる。TSMC熊本への支援と並ぶ規模で、「先端メモリを国内で作れること」自体を安全保障とみなす政策の表れといえる。世界的なメモリ不足の中では、なおさら重い意味を持つ。


「半導体都市・東広島」に起きること

地域への波及も具体的だ。新規雇用は1,000人超。地元の大学・高専と連携した技術者育成プログラムも動き出す。熊本がTSMCで経験した変化——賃金相場の上昇、住宅需要、交通インフラの整備——が、西条盆地でも始まると読むのが自然だろう。

酒どころとして知られた東広島市西条は、これから「EUVの町」の顔を併せ持つ。日本酒の仕込み水を育んだ土地が、13.5nmの光で回路を刻む——妙な取り合わせに見えて、精密なものづくりという一本の線では繋がっている。

14年越しの答え合わせ

エルピーダ破綻のとき、「日本のDRAMは終わった」と多くの人が書いた。14年後、その工場は世界のAIブームの心臓部の一つとして、1.5兆円の追加投資を勝ち取っている。終わったのは日本のDRAMではなく、日本企業単独で戦うという形だけだった——広島の起工式は、そんな答え合わせにも見える。

2028年の出荷開始まで、世界のメモリ需給はまだ荒れるだろう。だがそのとき市場に流れ込む供給の一部は、確かに広島から来る。覚えておいて損のない地名だ。


出典: EE Times Japan「マイクロンが広島工場拡張に向け起工式」(2026年7月6日) / PC Watch「日本唯一のDRAM拠点」 / 日本経済新聞。計画・金額は2026年7月12日時点。

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