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サンディスクはなぜ1年で27倍になったのか | NAND不足が生んだS&P500最強株

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メモリモジュールのクローズアップ

1年前に10万円分買っていたら、いま270万円——米国株サンディスク(SNDK)の話だ。SDカードでおなじみの会社が、1年で株価27倍・2026年のS&P500で断トツの上昇率を叩き出し、ナスダック100にも採用された。

なぜ「メモリーカードの会社」が、AI相場の主役に躍り出たのか。答えは、いま世界で起きているメモリ不足のもう半分——NAND(データ保存用メモリ)の争奪戦にある。

  • 何者か: 2025年2月にWestern Digitalから分社上場したNANDフラッシュ専業メーカー。キオクシアと工場を共同運営する日本との縁も深い。
  • 何が起きた: AIデータセンターのSSD需要でNAND価格が急騰(2026年は最大+234%予測)。専業ゆえ値上がりが利益に直撃した。
  • 数字: 直近四半期の売上は前年比3.5倍の59.5億ドル。受注残は420億ドル。

DRAMの陰で起きていた「もう一つの不足」

メモリ高騰というとPC用のDRAMが話題になりがちだが、AIデータセンターが飲み込んでいるのはそれだけではない。学習データを貯めておく大容量SSDの中身——NANDフラッシュも、生産が需要に追いつかなくなった。

調査会社Gartnerは、2026年のNANDコスト上昇率が最大234%に達しうると予測する。サンディスクはこのNANDの専業メーカーだ。作る物の値段が2〜3倍になれば、利益は跳ね上がる。直近四半期は前年の赤字から一転、1株利益23.41ドルという別会社のような決算になった。

27倍を作った「専業×分社」という構造

同じ追い風でも、27倍はさすがに異常に見える。種は株式の構造にある。サンディスクは2025年2月にWestern Digitalから分社したばかりで、発行済み株式が薄く、機関投資家の持ち高も少なかった。そこへ本物の需給ひっ迫と決算の爆発が重なり、買いが買いを呼ぶ垂直上昇になった。

日本との縁も知っておきたい。サンディスクのNANDは、キオクシアと共同運営する三重・岩手の工場で作られている。つまりこの熱狂の製造現場の半分は日本にあり、キオクシア株が「日本一の時価総額」に駆け上がった物語と、根っこは同じだ。


試金石は8月——ライバルの上場と決算

ここからを占う材料は2つある。ひとつはSK hynixのナスダック上場で、米国投資家のメモリ株マネーに強力な選択肢が増えた。もうひとつは8月に控える同社の通期決算。420億ドルの受注残がどんなペースで売上に変わるかで、「実力」と「祭り」の境界線が見える。

27倍を見てから飛び乗るのは、宴たけなわの会場に終電後から向かうようなものだ——と言いたくなるが、公平のために付け加えれば、受注残420億ドルは幻ではない。筆者が見るべきだと思うのは株価チャートではなく、NANDの契約価格の推移だ。メモリ株は結局、メモリの値段の従属変数である。高騰の出口が見えたとき、この祭りも終わる。


出典: 財経新聞「NAND不足で株価800%急騰のSanDisk」(2026年7月9日) / モトリーフール(マネクリ)「1年で2,700%上昇」 / TIKR「$42 Billion Backlog」。株価・数値は2026年7月12日時点。本記事は投資助言ではありません。

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