「Obsidian CLI」を検索してたどり着いた人に、最初に交通整理をさせてほしい。2026年2月、Obsidianに「公式CLI」が誕生した。それまで定番だったコミュニティ製のobsidian-cliは、混同を避けるため「NotesMD CLI」に改名している。つまり今、この名前は公式ツールを指す。
そして公式CLIは、期待をかなり上回る出来だ。ノートの作成・検索はもちろん、タスクの消し込み、プラグイン管理、果てはJavaScriptの実行まで、100種類超のコマンドがターミナルから叩ける。この記事では主要コマンドを一覧で整理し、旧CLIとの違い、AIエージェントと組み合わせる使い方まで通しで見ていく。
公式CLIの正体と始め方
公式CLIは、単体で動くツールではなく「起動中のObsidianアプリへのリモコン」として設計されている。だからSyncもプラグインもテーマも、アプリで出来ることはほぼ何でも操作できる。セットアップは3手順だ。①Obsidianを1.12.7以降に更新(インストーラー版推奨) ②設定→一般→「Command line interface」を有効化 ③案内に従ってPATHへ登録。あとはターミナルでobsidianと打てば、対話型の画面が開く。
書式には癖が一つある。--flag形式ではなく、key=値形式を使う点だ。たとえば「メモというVaultに今日の学びを追記」ならこう書く。
obsidian vault=メモ daily:append content="今日の学び: 公式CLIが便利"
主要コマンド一覧(カテゴリ別)
| カテゴリ | コマンド(抜粋) | できること |
|---|---|---|
| ノート操作 | open / create / read / append / prepend / move / rename / delete | 作成から追記・移動まで。移動時はリンクも自動更新 |
| 検索 | search query=◯◯ | 全文検索。format=jsonでスクリプト連携も |
| デイリーノート | daily / daily:append / daily:read | 今日のノートを開く・追記・読む |
| タスク | tasks / task ref=ファイル:行 | チェックボックスの一覧と消し込み |
| プロパティ | properties / property:set / property:read | frontmatter(メタ情報)の読み書き |
| タグ・リンク | tags / backlinks / orphans / unresolved | バックリンクや「孤立ノート」の発見 |
| プラグイン | plugins / plugin:install / plugin:enable | コミュニティプラグインの導入・管理 |
| Sync・履歴 | sync / sync:restore / diff | 同期の制御と過去バージョン復元 |
| ワークスペース | workspace:save / tabs / recents | 画面レイアウトの保存・呼び出し |
| 開発者向け | eval code=◯◯ / command id=◯◯ / dev:screenshot | JS実行・コマンドパレットの全コマンド呼び出し |
注目は最後の開発者向けだ。command id=はコマンドパレットにある操作すべてをCLIから呼べることを意味し、evalは任意のJavaScriptをObsidian内で実行する。つまり理論上、このCLIに「できないこと」はほぼない。
旧obsidian-cli(NotesMD CLI)はもう不要なのか
結論はノーだ。改名後も開発が続くNotesMD CLI(Go製・GitHub約1.6千スター)には、公式にない決定的な強みが一つある。Obsidianアプリを起動していなくても動くことだ。ノートの実体はただのMarkdownファイルなので、こちらはファイルを直接操作する。サーバー上のスクリプトや、アプリを立ち上げない自動処理に組み込むならこちらが向く。
| 公式CLI | NotesMD CLI(旧obsidian-cli) | |
|---|---|---|
| 提供元 | Obsidian公式 | コミュニティ(Yakitrak氏) |
| アプリ起動 | 必要(リモコン方式) | 不要(ファイル直接操作) |
| できることの幅 | 100超(プラグイン・Sync・JS実行まで) | ノート操作中心(open/search/create等) |
| 向く用途 | 普段使いの時短・アプリ連携 | ヘッドレスな自動化・サーバー処理 |
本命の使い道は「AIの手足」にすること
このCLIがいま熱い本当の理由は、Claude CodeのようなAIエージェントの「手足」になるからだ。AIに「今週のデイリーノートを読んで週報の下書きを作って」と頼むとき、AIはobsidian daily:readやsearch format=jsonを裏で叩いてノートを読み書きする。手元の知識ベースがAIの記憶装置になる——ローカルのMarkdownでノートを育ててきたObsidianユーザーほど、この恩恵は大きい。MCP(AIとツールをつなぐ規格)経由の連携も定番化しており、選択肢は出揃った。
筆者の目には、公式CLIの登場は「Obsidianがメモアプリから個人のデータ基盤へ進む」という意思表示に映る。ノートは人が読むだけのものではなくなった。
まず1行、ターミナルからメモしてみる
導入したら、最初の一歩はこれがいい。obsidian daily:append content="CLIからこんにちは"——今日のデイリーノートに1行増えていたら成功だ。ブラウザもアプリも開かずメモが残る体験は、思った以上に癖になる。「あとで清書しよう」と思って消えていった無数のメモが、これで拾えるようになる。
出典: Obsidian公式「CLI」 / Obsidian 1.12.4 Changelog(一般公開) / NotesMD CLI(GitHub)。2026年7月20日時点。コマンドは今後のバージョンで増減する可能性がある。





