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ポケモンカードで最強AIを作れ——賞金30万ドルの公式Kaggleコンペが開幕

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テーブルでカードゲームを遊ぶ2人

「ポケモンカードの世界最強プレイヤーを、AIで作ってください」——株式会社ポケモンが本気でそう言い出した。6月16日に開幕した公式AIコンペ「Pokémon TCG AI Battle Challenge」は、賞金総額30万ドル超。世界中の誰でも、Kaggleのアカウント1つで参加できる。

チェスや囲碁のAIはもう人間を超えた。ではなぜ、いまさらカードゲームなのか。実はポケモンカードには、チェスにはない「AI泣かせ」の構造がある。コンペの中身と面白さを、参加を考えていない人にも分かるように解説する。

  • 何のコンペ: ポケモンカードを戦うAIエージェントの開発。ポケモン社×松尾研究所×HEROZの共催で、舞台はKaggle。
  • 2部構成: AI同士が自動対戦する「Simulationトラック」(〆切8月17日)と、戦略レポートで競う「Strategyトラック」(〆切9月14日)。
  • 賞金: 総額30万ドル超。Strategy上位8チームに各3万ドル、第2ラウンド優勝で5万ドル。参加は無料。

チェスAIが通用しない理由——「見えない手札」

チェスや囲碁は、盤面の全情報が両者に見える「完全情報ゲーム」だ。AIはすべての可能性を読み切る方向で強くなれた。ポケモンカードは違う。相手の手札は見えず、山札から何を引くかは運任せ。しかも盤面はターンごとに複雑に進化する。

この「不完全情報+ランダム性」は、実世界の意思決定——投資、交渉、経営——に近い。ポーカーAIが研究者に愛されてきたのと同じ理由で、ポケモンカードはAI研究の題材として筋がいい。任天堂系IPの看板がついた「遊び」の顔をした、かなり硬派な研究コンペである。

Simulationトラックの回し方

参加者はAIエージェントをKaggleに提出する。提出されたAI同士が自動で対戦し続け、独自レーティングでリアルタイムに順位が動く——将棋倶楽部24の住人がAIになったような世界だ。提出は1チーム1日5回まで。〆切の8月17日まで、世界中のAIが昼夜なく殴り合っている。

面白いのは、強さの源泉が「モデルの大きさ」とは限らないことだ。ルールベースの手堅い判断、モンテカルロ法の読み、LLMによる状況判断——アプローチは自由で、エージェント型AIの設計力がそのまま試される。オープンモデルを組み込んで戦わせることも当然できる。

ptcg-abc.pokemon.co.jp Pokémon Trading Card Game AI Battle Challenge(公式サイト) ルール・日程・参加登録の一次情報。Kaggle側のコンペページへのリンクもここから。

観戦するだけでも面白い

参加のハードルが高く感じるなら、観戦から入ればいい。Kaggleでは対戦ログが日次で公開されており、上位AIの試合を眺めるだけでも「AIはこう考えるのか」が伝わってくる。人間の定石と違う手を打つAIが勝ち上がる瞬間は、囲碁AI黎明期のあのざわめきを思い出させる。

ゲームAIコンペは、腕試しと研究と娯楽が一皿に載った稀有なイベントだ。8月17日の〆切まで、まだ1ヶ月ある。カードゲーム好きのエンジニアなら、今年の夏の自由研究はこれで決まりかもしれない。レポートで戦う第2幕「Strategyトラック」の攻略は、別記事で詳しく扱う。


出典: ポケモンTCG ABC公式サイト / 株式会社ポケモン プレスリリース(2026年6月16日) / Kaggleコンペページ。日程・賞金は2026年7月12日時点。

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