OpenAIのターミナル用コーディングエージェント「Codex CLI」は、GitHubのスターが約10万に達した、いま世界でもっとも注目されるオープンソースの一つだ。そしてこの1年で中身は別物になった。スラッシュコマンドは40種を超え、デフォルトモデルはGPT-5.6のSolに世代交代している。
問題は、日本語の解説の多くが2025年時点の古い情報のままなことだ。当時の定番だった/approvalsは/permissionsに改名され、--full-autoフラグは非推奨になった。この記事は、公式ドキュメントと最新版(v0.144系)の実際の挙動に基づく2026年版の網羅リファレンスだ。
スラッシュコマンド早見表(v0.144系)
対話画面で「/」から呼び出すコマンドの主要どころをカテゴリ別に整理した。太字は2026年に入ってからの新顔で、古い解説記事にはまず載っていない。
| カテゴリ | コマンド | 何をするか |
|---|---|---|
| セッション | /new・/resume・/fork | 新規チャット/再開/会話の分岐 |
| /compact | 会話を要約してコンテキストを解放 | |
| /side(/btw) | 履歴を汚さない「ついで質問」 | |
| /archive・/delete | セッションの整理 | |
| 動作設定 | /model | モデル切り替え(既定はGPT-5.6 Sol) |
| /permissions | 承認なしで動ける範囲の設定(旧/approvals) | |
| /personality・/fast | 応答の性格/高速ティアの切り替え | |
| /plan・/goal | 計画モード/達成条件の設定 | |
| コード作業 | /diff・/review | 変更差分の表示/コードレビュー依頼 |
| /mention・/ide | ファイル添付/IDEで開いている範囲を共有 | |
| /init | AIへの説明書AGENTS.mdの雛形生成 | |
| 拡張・連携 | /mcp・/apps・/plugins | 外部ツール連携の管理 |
| /skills・/memories・/hooks | スキル/記憶/フックの管理 | |
| /import | Claude Codeの設定を取り込む | |
| 情報・制御 | /status・/usage | 設定と使用量の確認 |
| /ps・/stop | 裏で動くターミナルの確認/停止 |
安全設計は「承認×サンドボックス」の掛け算で覚える
Codex CLIの設計思想でいちばん重要なのがここだ。AIの自由度は、承認ポリシー(いつ人間に聞くか: untrusted / on-request / never)とサンドボックス(どこまで触れるか: read-only / workspace-write / danger-full-access)の2軸の組み合わせで決まる。画面上のプリセット「Auto」は「必要なときだけ聞く×作業フォルダ内だけ書ける」という中庸の設定で、Git管理下ならこれが既定になる。
ネットワークはサンドボックス内では標準で遮断される。エージェントに自由を与えつつ、事故の半径を最初から区切っておく——この「檻の設計」を理解していれば、Codex CLIは怖い道具ではない。逆に、古い記事が勧めてくる--full-autoや全バイパス系フラグを雰囲気で使うのはやめたほうがいい。
ターミナル自動化の入口「codex exec」
対話せずに1回だけ実行するcodex execは、スクリプトやCIに組み込むための顔だ。たとえば次の1行は「直近のコミットの要約」を出力して終了する。
codex exec "直近のコミット内容を3行で要約して"
--jsonでイベントを機械可読に出せて、--output-schemaを使えば出力をJSONの型に従わせることもできる。定型レポートの自動生成のような使い方は、対話モードよりこちらが本業だ。
料金と「/importが象徴するもの」
料金は素直で、ChatGPTの契約に付属する(無料プランでも制限付きで使える)。Plusなら5時間あたり15〜110メッセージが目安で、足りなければクレジット追加かAPIキーの従量課金に切り替える。専用の追加サブスクが要らないのは、ChatGPT既加入者には大きい。
面白いのは/import——Claude Codeの設定ファイルを公式に取り込む機能だ。競合ツールからの乗り換え導線を堂々と実装するあたりに、このジャンルの競争の激しさが出ている。筆者の見立てでは、CLIエージェントは「どれか一つに決める」ものではなくなりつつある。設定(AGENTS.mdやCLAUDE.md)が共通言語化して、モデルの得意分野ごとに道具を持ち替えるのが2026年後半の標準になるだろう。ハードウェアにまで手を伸ばしたCodex Microも、その布石に見える。
最初の10分でやる3つ
導入したらまず、①codexで起動してGitリポジトリ内で何か1つ頼む(既定のAutoモードの感触を掴む)、②/permissionsを開いて檻の広さを確認する、③/initでAGENTS.mdを作る——この3つで、このツールの骨格はすべて体験できる。Claude Codeとの実力比較は「Claude CodeでGPT-5.6 Solは動く?」も合わせてどうぞ。
出典: OpenAI公式「Codex CLI slash commands」 / 同「Approvals & security」 / openai/codex(GitHub)。2026年7月20日時点(v0.144系)。コマンドはバージョンで増減する。





